Festina lente

気が向くままに、考えごとの適当な記録処。

宝塚花組「マスカレード・ホテル」を観てきました

今更ですが宝塚「マスカレード・ホテル」の感想です。

「マスカレード・ホテル」といえば、ぱっとキムタクの顔が出てきます。

でも、中身は知らない。宣伝は何度も見た。そんな程度の知識ですが、あえて知らないままで行ってきました。
キムタクなので、やんちゃ系瀬戸さんかな、という期待だけは、してましたが。
実際観ると、ストレートプレイかな、と思うほどに歌がない。演技力の塊とセリフの応酬を見たのは久しぶりです。瀬戸さんの演技力の高さを改めて、見せつけられました。

kageki.hankyu.co.jp

全くネタバレに配慮しない感想ですので、以下ご注意下さい。

 

 

 あらすじ

東野圭吾氏の「マスカレード」シリーズ第1弾「マスカレード・ホテル」。シリーズ累計発行部数は360万部を超え、2019年1月公開の映画も大ヒットを記録した長編ミステリー小説の傑作が、宝塚歌劇の舞台に登場いたします。
都内で起きた不可解な連続殺人事件。残された暗号から次の犯行場所はホテル・コルテシア東京であると判明し、警視庁捜査一課の刑事・新田浩介がホテルマンとなって潜入捜査を開始する。彼を教育するのは優秀なフロントクラークの山岸尚美。立場も性格も異なる二人は些細なことで衝突を繰り返すが、次第に互いの能力を認め合い、強い信頼関係で結ばれていく…。怪しげな客達が次々と騒動を巻き起こす中、果たして二人は事件の真相に辿り着くことが出来るのか!?

(宝塚公式HP 原文まま)

 キャスト別感想

キムタク系瀬戸さん、やんちゃな革ジャンジーンズ姿は最初だけで見納め!あとはちょいダサホテルクロークの風貌と、びっくりするほど麗しく格好良いスーツ姿…いやあの私服の男がこんなにスーツ着こなして良いの!?というくらい格好良い笑 さすがすぎます。紫のホテルクロークの恰好は、最初は着崩してキムタク感のある髪型でヒロインの山岸(朝月さん)に注意されるんですが、その時は「うわださい、のに格好良い」って思えたんですよね。でも、すっきりした髪型でぴしっと決められたとたん、素敵に見えるから不思議なものです。そして、どんな格好をしても、足の長さは変わらない笑
相手役の朝月さんは、実はちゃんと認識していなかったのだけれど、本当に演技がお上手だった。気が強く凛とした仕事ができる女性だった。その二人が対立しながらも、少しずつ距離を詰めていくバディ感が良く出ていました。
最初、二人で歌うところは少しキーをあえて外して聞こえたんですよね(ヘタではなく、あえて相手と合わせてない感じ)。でも、最後の二人で歌うシーンは麗しく美しく。まさしく、距離を縮めたんだと思わされました。
相棒の能勢さん役は、まさかの飛龍くん。というのも、映画では「昼行燈系やるときやる先輩」な小日向さんだった役なんですね。
なので、わんこ系後輩というアレンジにびっくりしましたが、とってもかわいくてお笑いで、「バディ、バディ…」と歌い出した時には歌う、か…?と身構えたのに、そのまま「バディ…バディ…」と去って行ったところは思い切り吹いてしまった。

あとですね、老婆で犯人で、な長倉役の音くり寿さん。怪演と評している感想をいくつか見かけましたが、全く同じ感想です。虚ろな狂気をはらんだ犯人の悲哀と気狂いが最高に素晴らしかった。舞台全体としても歌うシーンが少ない分、このシーンの犯人のどすの効いた歌が最高に恐ろしく素晴らしかったです。最高でした。鳥肌立った。

総支配人の汝鳥伶さんはさすがのベテランでちょっとお茶目で落ち着きのある山岸さんが憧れたホテルマン、まさしくな安定感のある演技をされてました。
あと個人的にMVPはですね、映画では「生瀬さんだった」という栗原役、高翔さんですよ。気づかなかった…イケメンぶりが全く!!ない!!嫌らしく憎たらしく、しかし悲哀のあるおっさん役をよくぞ…素晴らしかったです。ここがあるからこそ、新田の弱さが出るわけで。しかし、よくぞ演じてくださいました。

フィナーレ

2幕ものなのでダンスあるかな、あったらいいな…と思ってた程度だったんですけど、フィナーレでがっつり踊ってくださってとても楽しかったです!美しく、そしてリフトがあった…すごかった…キムタクな瀬戸さんはとても格好良いけれど、宝塚でダンディズムな瀬戸さんではないので、ここぞとばかりに堪能させてもらいました。

麗しく格好良い瀬戸さん。可憐な娘役を包み込むようなダンスでした。花組らしさなどは私は詳しくないのですが、とても素敵でした。

 

その他、構成や思うことなど

ラストの「香り」の件は、ちょっと気になりました。急に、あれ、背後霊キムタクが抜けたダンディズム瀬戸さんだ!って思ったもので。

これって本家もそうなの??と確認したところ、映画版を見ていた友人が本家では文鎮の置き方から、山岸さんが捕まっていることがわかる、と教えてもらいました。
なるほど、そこで宝塚感笑
最後の2人でディナーのシーンあたりから、ちょっと宝塚感があるのは、山岸の衣装のせいでしょうか。とても娘役らしく可憐で愛らしいドレス姿、とても素敵でした。青い新田のスーツと、薄桃色の山岸のドレスの対比がとても良い。が、それはそれでよかったんですけど、妙にびっくりしましたね。なんででしょうね、空気が変わったからかな。めっちゃスモーク炊いてましたしね。あそこは、夢の世界、くらいで良いのかもしれない。

舞台装置も結構好きでした。後ろの眠らない町を模した夜景。クローク、転換で部屋。簡易だけれど今どの場面かわかりやすくて見やすいです。

物語の構成も良くて、すっきり見やすい群像劇、でも主人公2人はほぼ出ずっぱり。色んなお客様がいて、という構成の中で2人の性格が見え、それによって水と油に見えた二人が少しずつ打ち解けていく。
ここまで綺麗な構成で、しかもセリフばかりのお芝居を宝塚で見られるとは。とても好きなタイプなんですけど、こういうのはよほどの演技力があるメンバーでないとできないですよね。嬉しい。

また、こんな舞台が観たいと思ってしまう、良い舞台でした。