Festina lente

気が向くままに、考えごとの適当な記録処。

まひると小保方さんとの類似性~聖母属性とダメンズメーカーについて

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OLD感想妄想考察シリーズ2です。

今回は、まひるについて。

 


「かわいそう」
「かわいい」
「彼女は何も悪くないのに」
「科学者としては正しいかわからない。だが、女性としては、守ってあげたくなる」
 
「あざとい」
「あんな時にあそこのブランドの指輪つける?」
「声が嫌い」
「彼女についてどうこう思わないけど、彼女を擁護する男たちが、気持ち悪い」
 
小保方さんについて、異常なほどに叩く風潮に、私は違和感を覚えました。

その研究の是非より、彼女に対するあれこれのほうが、取り上げられていた印象があります。そして、その攻撃性は、どこか、まひるへの批判に似たものを感じる。

それはなぜか、ということをぐだぐだと語ってます。

 
ま ひるに関しては、物語で課されている役割、性格などがちぐはぐになっていると思っています。最初は作者さんが女性を描くのが苦手なのかとも思ったんですけ ど、明夜や秋子さん、南ちゃんもテンプレに沿いつつ良いキャラなんですよね。役割と性格が、うまくかみ合わなかったのかな、と邪推してます。なので、「こ の役割ならこういう部分があったほうが」みたいな周りの反応含めた、勝手な展開妄想も含まれます、注意。
 

 


 
まひるは、 「竜太郎を受け入れる役割」「竜太郎を落とす役割」と「導入時の読者視点、解説役」の二つをになっています。この二つを組み合わせるのは結構難しい。とい うのも、これは先生がどこかで書いてたように思うんですが、「嫌われるようなヒロイン」として描かれているからです。
さらに、前者は、まひる個人の魅力ではなく、竜太郎の補助としての役割です。それこそ、キリストの聖性を引き立てるために、マリアが処女懐胎した設定(怒られる)ようなもんです。
聖母マリア的キャラクターって魅力的だと思ってますが、嫌という女性が多いのも事実です。なぜって、「偽善者だから」。
まあ、確かに、キリストのために存在してるわけで、個人の人格が見えないから、気持ち悪いといえば気持ち悪い。
恋愛分析ブログ系も好きで結構読んでるんですが、これってすごく的確。このブログは私のお気に入りです、面白すぎる。
 http://papuriko.hatenablog.com/entry/2016/05/18/180000
アベマリア~と歌い、好きな人のために尽くしまくって、堕ちていく!ふつうの人間は、できないんですよ、聖母なんて。 不可能とは言わないけど、確実にどこかに欠陥がある。

このブログでもあるように、聖母マリア的なキャラで思い出すのはフルーツバスケットの透です。私は好きでした。が、一部の女性から、きもちわるい、という評価も受けていました。
最後の方で透の抱えてるものが明かされて、だから聖母的だったのか、という落とし方もしてるので、最後まで読んで好きになった人もいるのでは。
あと、天然媚び売りみたいに言われるのはBLEACHの織姫か。ぶっ飛び具合好きなんですけど…食パン一斤とあんこが昼ごはんとか飛びすぎで楽しい。

話をもどします。

まひるに与えられた「竜太郎を惹きつける」「母性的」かつメンヘラで承認欲求を他者にもとめる点。これが、まひるの描き方ではわかりにくい。

小保方さんがそうだ、とは断言できませんが、母性的で男性に依存気味、男性からは好かれるが女性からは嫌われる「大和撫子」。
こ ういう属性を持つ知人いわく、「女性から嫉妬されやすい。自分よりモテると思えないスペック(見た目とかがわかりやすくモデルや美少女ではない)なのに、 男にちやほやされるから」らしい。そして、彼女に言わせると、「男は、すごいって言って欲しいし、認めてもらいたいし、自分より上になりそうな女は怖いん だよ。すごいって言われつつ、甘やかされたいの。女の子を甘やかすことで、甘えてるの」
すなわち、ちゃんと自分を「あげてくれる女の子」をちやほやしたい。どこぞの高野連の話を思い出しますね!このブログの解説がわかりやすかったです。

高校野球の女子マネージャーをグラウンドに立たせないのは、「安全性」ではなく「理想の萌えと違うから」だと思う件。 : スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム



めんどくせー!!!

でも正直、気持ちはわかるんですよね。私も甘やかされたことのある人間の1人だから…ほんときもち良いよね……こっちを依存させにかかるよね……依存しそうになるよね。こわい。

通常、周りの目を気にしたり、彼女の存在を気にしたり、何より私みたいに面倒に感じてできない人の方が多い。でも、この属性持ちは、「目の前の人を喜ばせようと思ってるだけだよ」らしい。自己犠牲やばい。なぜ、上下関係を作らなければならないのだ。


そして、サンプル数少ないんですが、想定ではファザコンあるいはブラコンですね。父などの男性に愛されて育った娘。そして、「母から敵視されている」。なので、「女性に好かれる」感覚がわからず、「男性に助けてもらう」癖がついている、様な気がします。まひるで言うと、三鷹さんとか。

ちなみに女性から好かれる「共依存させる人」もいるんですけど、そっちはまひるに当てはまりようがないんで、割愛。

そ う考えると、まひるには、「男からは好かれる」「女から嫌われそう(これは読者からでも良い)」あたりが足りなかったかなと思います。南ちゃんから嫌われ てもいいと思うんですが、そうすると、あの時点ではまだまひるは読者視点担当だったので、南ちゃんの株が下がりすぎるから難しいかなあと。
男から好かれる、は、町ちゃんたちを男にして、男二人女ひとりでごはん食べてる時に襲われるとか、過去話で女子からはぶられて涙目のところを男子と同じグループになって笑顔でお礼を言うとか、そんなんでいいと思う。女性に対しても同じ態度だから媚を売ってるわけではない、けれど、というやつです。
あるいは、「父性担当である黒須から好かれる」と良かったかなと思います。そして、読者が「なんであの女の怖さに気づかないんだ!」てやきもきするという笑
あんな兄もって可哀想に、お気に入りの竜太郎の好きな子だし、みたいな感じで、お父さんやってくれても良かったんじゃないかな…黒須さんへは大変もやもやしてるので、また別の機会に(書けたら)。

話は飛びますが、まひるへの気持ち悪さは、キャラクター性のちぐはぐさだと思います。
カードキャプターさくらでいうところの「さくらと知世」、まどマギでいうところの「まどかとほむら」。
あ るいは、シャーロックの「ジョンとシャーロック」ですかね。バディものなどでは割とよくある型なので、銀英伝や相棒やら、いくらでも事例は出せるんです が。どれも同性だよ。

異性だと恋愛になるから、少女漫画の読書数少なくて思い出せないんですが。なんでもできるけど影のあるイケメンが、普通だけど一生懸命な女の子に心を 溶かされて惚れるって定型ですよね。なんか乙女ゲーでも聞いたあります。「花より団子」もその系統かな?

さくら、まどか、ジョンに共通するのが、「人から割と好かれる、人が好き」などの特性を持った平等型。もちろん差異はたくさんあるので、これらの特性を博愛型と仮定します。
それに対し、知世、ほむら、シャーロックなど、「誰か一人を愛する偏愛型」。知世ちゃんが異質に見えるかもしれませんが、「外のみんなも好きだけど、何よりさくらちゃんが好き」という性質に焦点を当てます。

愛され気質と愛する気質と言ってもいいかもしれません。OLDでいえば、竜太郎が博愛型、まひるが偏愛型ですね。
なので、まどマギ的に言えば、「世界を救いたい竜太郎と世界を滅ぼしてでも竜太郎を救いたいまひる」という構造になれば、きれいだった。ついでに、まどマギ新約までいけば、いい感じに闇堕ちする竜太郎とまひるに行きつくんですが、それは置いといて。
問 題は、「世界を救いたい」博愛型から「世界を滅ぼしてでも一人を救いたい」偏愛型に竜太郎が移行したこと。そして何より、まひるの偏愛対象が「内斗から竜 太郎へ移行」したこと。前者に関しては、まどマギ二次創作の主にまどほむ闇堕ちもので見たことあるやつですね、博愛型が一人にだけ愛を注ぐと、偏愛型より 狂気的になり、二人ぼっちの共依存世界を作るやつです。個人的にはとても好きな話形態なんで、最終話の竜太郎は最高だと思ってるんですが、今はまひるの話 に戻します。
まひるの偏愛対象が、内斗から竜太郎へ移行した過程は、もうちょっと丁寧に描いて欲しかった、というのが正直なところ。
後半になるにつれて、内心が読めないキャラクターになるので、なおさらです。
本 当に妄想なんですけど、せっかく羊の写真を料理長からもらったシーンで「何こいつ!?こわ!!」って思わせてたんで、竜太郎を引きずって、(個人的にはこ こもネックで…その筋力が謎、この展開に持ってくるためにキャラクターに行動させたのようで、もやもやします)兄に対面するシーンで「目の前で破られて」 もいいんじゃないかな。
「お前に捧げられる羊は、いらないよ」
神から捧げものを拒否られたカインのように。神は農耕を行うカインの収穫物を無視し、放牧を行うアベルの羊を喜ぶんで、ちょうどいいんじゃないかな。「肥えた羊の初子」でなかったから、アベルになれなかった。
創世記ついでに、内斗に訪問を喜ばれた竜太郎を、嫉妬でまひるが殺そうとして、そこで竜太郎に無条件に許されたら、まひるもすとんするんじゃないかな……いっそそこで、家族を欲しがるまひるに「一緒にアメリカに逃げればいい」って言えば、すとんしないかな。特に137話の「ストン」回、かれは竜太郎が堕ちると同時に、まひるが竜太郎に対して本当にすとんした回だとも思ってるんですが、「これから俺が守るよ」ってあそこにすとんしたなら納得できる。


ついでに、竜太郎にナイフ向けたら読者からもいい感じに嫌われるし、逆にこういう子好きって人も増えると思うんですけど。

全部妄想です。

最初の話題に戻って、ダメンズメーカーとしてのまひるの話。
「誰からも愛されなかったから、愛を欲する娘」でもいいんですが、そっちだとちょっと猜疑心が足りないかな。そっちの場合の理論の破たん具合について述べるのは面倒なんで置いといて(どうせ全部妄想だよ)、「愛を知ってるからこそ、愛したい娘」と仮定します。
「愛を知ってるから、愛されたい娘」でもいいんですが…ここがキャラクター性とのずれというか…設定上は「愛したい娘」なのに「愛されたい娘」としての側面が強すぎるというか、まあこの辺りの混在は許容範囲かなあ。
最初の聖母的なキャラクター、相手を依存させにかかる。まひるはその要素が確実にあって、まひるが竜太郎を抱きしめる「信じる」のシーンなんて、本当に共依存的だと思います。
け れど、まひるは内斗に愛されたいシーンが長すぎて、竜太郎を愛するシーンが短すぎた。それでも作者の演出力であれば、短く印象的なシーンも作れたと思いま すが、竜太郎の株をあげるためにまひるの株は下げておく手法を選んだのだと思います。竜太郎の株があがったままのほうが、一番最後が映えるので。

長くなって訳がわからなくなってきた。本当に惜しいキャラだなあというのが、私の本音です。髪切ったのも最高だったのに。
嫌われたのも「まひるの本質」ではなくて「竜太郎に害だから」「わけがわからないから」の方が大きくて。あと黒須さんの誘導な…あれ気持ち悪かった……
まひるの狂気怖いし気持ち悪いから嫌い、というくらい強烈なキャラクター性をもって欲しい。
そんな感じでとりとめがない、まひるは闇のマリアだったという話でした。書き出せばもうちょっとまとまるかと思ったが、そんなことはなかった。